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symposiums and conferences シンポジウム・学会

Presentation 発表

1.問題の所在
地域研究とは、世界の諸国・諸地域の文化を学際的な視点から分析の俎上に載せる知的営為であり、学問の専門分野として、また大学教育カリキュラムにおける専攻分野として、今日確たる地位を与えられている。他方語学学習は、英語を中心として必修化され、カリキュラムの核の一つとして重視されている。地域研究の対象が外国である場合、その地域の文化についての知識の獲得と、そこで母国語・公用語として使用される言語の運用能力の習得が、相互連携的なスキームのもとで進められるのが望ましいことはいうまでもない。しかし現実の大学教育では、それらは概ね分離されたプログラムのもとに実施されてきた。たとえば、発表者が籍を置く武蔵大学人文学部英米比較文化学科では、地域研究の講義や演習は専門科目として44単位が選択必修とされ、語学学習は外国語科目として14単位が必修とされている。それぞれは別枠として、カリキュラム上に異なる位置づけを与えられているのである。他大学においても、事情はそう違わないであろうと思われる。
このようなカリキュラム上の分離に関して、従来から、次のような批判がなされてきた。すなわち地域研究は、本来、対象とする国家や文化圏の母国語・公用語を使用して実践することが望ましいにもかかわらず、語学学習の成果から切り離されたかたちで展開せざるを得ない状況に置かれている。むしろ、受講者の語学力の制約やその他の便宜上の理由から、日本語に頼らざるを得ないのが現状である。他方、語学学習においても、文法、講読、会話、作文などのスキル別区分や、能力別編成など様々な構造改革がなされてきた反面、専門科目での学習内容との連携はほとんど手つかずの状態であり、専門科目との連関は不問に付され、なおざりにされ続けている。語学学習を、地域研究を実践するための導入として位置づけようとする改革が芽生える可能性は、現在の制度では著しく制約されていると言わざるを得ない。
外国語科目と専門科目の分離という現象を、今一度歴史的に顧みるなら、「教養対専門」という二分法が幅を利かせていた時代からの残滓的な想定に基づいているとはいえないだろうか。このような想定が、一つの学部・学科の教員間に、微妙な意識的・実質的格差を生じさせている可能性を否定することはできない。
外国語科目と専門科目のカリキュラムにおける分離は、地域研究という学問の教育的効率・能率という観点から、また大学の教学的運営という観点からみて、多くの不利益をもたらしているのである。本発表では、この構造的な問題に対処すべく、地域研究において概説授業と語学学習を統合するための一つの方法を提案したい。

2.教育改善の内容と方法
発表者は2008年4月から、地域研究の概説講義(英語圏文化論、実質的にはアメリカ研究入門)において上記の要請に応ずるべく、新しい構想と方法論に基づく授業を実施している。その概要は次のとおりである。アメリカのCNN、NBC、ABC、CBS、FOXなど主要メディアネットワークおよびYAHOOのようなインターネットメディアによって配信されるニュース報道の動画(Video Clips)をテーマ別に導入し、各授業で視聴させることによって、1.受講者の外国語聞き取り能力/文章力を高め、2.異文化の多元的理解を促し、3.かつ対象国のメディア報道のイデオロギー性に対する関心を喚起することをめざす。テーマの具体例は前期の場合、地域性、人種と民族、家族、教育、女性、映画、食生活と肥満などである(後期は政治、経済、外交、宗教、歴史などを考慮中である)。各授業は、次のように進行する。冒頭で2分から5分程度の動画を3回繰り返して視聴させ(15分)、その内容に関わる争点について質問し(5分)、解答させ(5分)、講義によって争点の背景、歴史的経緯、論争の構造などを解説し(45分)、次に動画報道のスクリプト(和訳)を配布して質問の模範解答を提示し(10分)、その解説(10分)をおこなう。

3.教育実践による改善成果
3-1.語学学習としての本授業がめざすのは、ディクテーション(口述筆記)という作業である。従来から、ディクテーションは、学習者の聞き取り力、文法力、文章力を同時に強化する効率的な手段として、また、聞く・話すという実践的運用能力と、読む・書くという能力、つまり日本人が比較的苦手としてきた領域と、比較的得意としてきた領域を架橋しつつ、その両面において向上を促す方法として注目される一方、その難易度の高さが一般的普及を妨げる弊害として指摘されてきた。動画を視聴し、そのスクリプトを作成する作業とは、このディクテーションに他ならない。動画配信されるニュース報道の視聴は、ディクテーションの利点を享受しつつ、難易度ゆえ学習者を辟易させるリスクを減じる可能性に富む点で注目に値する。リスクを減じることが可能な理由は三点ある。第一に、動画というビジュアルな教材は一般に学生の受けがよく、常に刺激を与え続けることが可能である。第二に、報道が伝えるテーマは、日本のメディアによるテレビや新聞の報道でも日常的に目にし、耳にするものであり、大学のカフェテリアやコモン・ルーム、あるいは家庭のお茶の間での日常的な会話で話題にされやすいものである。学生は、授業内容が公共スペースでの対話に直結する醍醐味を実感することができる。第三に、配信動画から流れてくるのは、ネイティブスピーカーを対象として発話されたいわゆるリビング・イングリッシュ(生きた英語)であり、聞き取りが困難である反面、聞き取ることができたときの手ごたえ・喜びも大きい。現に、受講者からは「聞き取りはずっと難しいが、面白くやりがいがある」との声が多く寄せられている。
3-2.地域研究概説としての本授業がめざすのは、異文化の多元的理解である。アメリカ合衆国という異文化圏を理解するために、各授業でテーマを設定し、全体として異文化を理解する上で役立つテーマ分類法を模索している。テーマには、政治、経済、国際関係など学術分野に基づいて設定されるものもあれば、ジェンダー、人種、階級など同国におけるアイデンティティ・ポリティクスを理解するための必須のカテゴリーもある。また、宗教、家族、スポーツ、肥満など、メディアの注目が集まる領域から選定する場合もある。テーマは学生の関心に応じつつ、学問領域と現時点での争点性に配慮して、折衷的しかし臨機応変に設定するものとしたい。すでに取り上げた争点の具体例としては、国内の地域的多様性と区分方法、現代社会における人種差別、DNA鑑定法の商業化と離婚訴訟の増加、アメリカにおける初等・中等教育の質的低下と高等教育の優越、女性の雇用と「ガラスの天井」、ハリウッド映画の国際化とアフリカ諸国への影響、ファーストフード産業による教育支援と肥満問題などがある。
3-3.本授業はアメリカのメディアがもつ性質を利用して、さらに一段高い目標を目指している。彼の地ではイデオロギー色の濃い報道がなされていることはよく知られている。主要ネットワークはリベラル(左派)寄りであるが、これに反発して保守派(右派)寄りのFOXが旗揚げし、現在でも高い視聴率を誇っている。いわば、メディアによる言説空間は、イデオロギー対立が鮮明に表出する場なのである。最近では、大統領選挙の行方をめぐって、FOXとNBCが右対左の論陣を張り、注目を集めたばかりである。動画を効果的に導入することによって、こうしたイデオロギー性に注意を喚起し、意見形成を促し、延いては日本のメディア報道の在り方を振り返る姿勢を涵養することも可能であろう。
以上期待される成果が、いかなる度合で、いかなる過程を経て実現するかは、講義を通じて適宜実施する小テストやアンケートの集計結果を用いて検証する。

4.成果の発展性
 今日パソコン市場における低価格化に伴い、個人所有率は上昇し、キャンパスの端末数も急増している。学内ランの発達により無料でインターネット接続が可能となった。主要ネットワークが配信する動画はパソコンを通じて常時、容易に視聴可能であり、大学と学生個人双方にとって経済的負担は少ない。留学制度の充実を求める声の高まりと共に、能率的な語学学習と概説的な地域研究授業に対する需要は高まる一方である。
 本提案は、現在のIT環境の中で教育上の必要性に十分に応じるものであり、その成果の発展性は極めて高いといえるだろう。


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