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PR Activities in Musashi 学内広報誌

アメリカの文化と歴史と「黒人身体能力」

みなさんこんにちは。私は人文学部に所属して、アメリカの社会と文化を専門に研究しています。とくに最近は、アフリカ系アメリカ人(黒人)のいわゆる「身体能力」に関する言説や表象が文化的、歴史的に形成され、変遷を遂げてきた過程に関心を持っています。
すこしわかり易く述べてみましょう。みなさんは、「黒人には生まれつき固有の身体能力があり、だから日本人はオリンピックやサッカーW杯で太刀打ちできないんだ」などと考えていませんか?
数年前に日本各地の大学でアンケートと聞き取りの調査をしたことがあります。その結果、(厳密な処理のプロセスを省いて単純に述べますが)90%以上もの大学生が、程度の差こそあれ、「黒人には固有の身体能力がある」という考えを支持していることがわかりました。なるほど、こうした世論(といってもいいと思います)には、一定の根拠があるのかもしれません。しかし歴史を専門とする私などは、「ちょっと待ってくれ」と言いたくなるのです。どう待ってほしいのか、それを黒人身体能力と「負の関係」にある(つまり「黒人が苦手である」と巷で囁かれている)水泳を例にとって述べてみようと思います。(以下、下に紹介する拙稿からの抜粋です。)
水泳競技のトップ選手層に黒人が少ない理由について、どのような説明がなされてきたのでしょう。スポーツ社会学の教科書は、黒人の児童が水泳をする機会や施設が少なく、その結果として泳力が未発達である、その根底には人種主義(水を通じて異人種と肌を触れ合うことに対する嫌悪感等)があるなどと説明しています。しかしここでは、歴史的な観点から考えてみましょう。ある研究者は、水泳と潜水を事例として、運動技能に卓越する集団が出現するための歴史的文脈の重要性を説く論文の中で、こう主張します。
「西アフリカ海岸地域あるいは内陸部の人間がまだ一人たりとも、奴隷にされたり、海外に強制輸送されたり、新大陸の空の下で強制労働に就かされたりしていなかったころ、アフリカ人の多くは熟達した泳者そして潜水夫であった。やがてアメリカ大陸に輸送された奴隷たちは、アフリカで培ったこの技能を持ちこみ、その後数世代に渡って仕事や余暇の時間に、それを大いに活用したのである。大航海の時代から一九世紀を通じて、アフリカ系の人々の水泳と潜水の能力は、ヨーロッパ系の人々のそれをはるかに凌ぐものだった。」
続いて、「黒人は水泳が苦手」という固定観念にとらわれたものには斬新で挑発的にさえ映る水泳の過去に関する事実が、次々と明るみに出されます。近現代のヨーロッパ人、とくに女性が、そして水夫でさえ水泳を不得手としたこと。大航海の時代以後、オランダ、フランス、そしてスコットランドの探検家がガーナ、セネガル、ガボンなどの地で目撃した、アフリカ人の驚異的な泳力、泳法、肺活量について。新大陸の植民地で奴隷たちが見せた超人的な水泳と潜水の能力について。そして主人の命を受け、あるいは自発的に、ジョージア、カロライナ、西インド諸島の海や河川で鱏、鮫、鰐などと闘ってこれを容易く射止めた奴隷たちについて等々。
このように、「過日」の水泳と潜水の世界が「今日」のそれと大きく趣を異にし、現在の「劣等者」が過去の「優越者」であった様子を、この研究は実証的かつ写実的に描き出すのです。そこで黒人は、白人よりも上手で早い泳者であり、より深く、より長く水中に留まることのできる潜水夫でした。この史実から、私たちは特定の身体的な技法や演技(パフォーマンス)が「人種化」される際に、歴史的、文化的、環境的要因がいかに重要であるかを読み取るべきではないしょうか。
19世紀以後、水泳と潜水の世界にいかなる変化が起きたのでしょうか?具体的な検証は別の機会に譲り、およその筋書きを述べましょう。一言でいうと、水泳と潜水の「再人種化」が起り、黒人の身体技法が白人のそれへと転換したのです。その背景に、中産階級の出現と余暇の発見、水泳、日光浴、海水浴のレジャー化、肌の露出に関するタブーの解除、新しい身体観、美観、習慣、マナー、そして女性観の構築、水泳の競技化と国際大会の開催、そして人種主義的社会の構造と秩序の中での海岸、湖岸、プールなどからの黒人の締め出しなど、多様で広範囲に及ぶ社会的かつ文化的な条件の成立がみられたことはいうまでもありません。
いかがでしょう?歴史的な視点からみると、ものごとが少し違って見えてきませんか?
私の話はここでは終わりません。そうです。黒人身体能力と「正の関係」にある(つまり「黒人が得意である」と巷で囁かれている)陸上競技の場合はどうかを、当然考えなければなりません。実は、この関係性についても最近興味深い研究が蓄積されています。
と、ここまで書いて、紙幅が尽きてしまいました。この続きは(宣伝になって恐縮ですが)拙稿「『黒人身体能力』と水泳、陸上競技、アメリカンスポーツ―『神話』の歴史性を検証するための試論的考察として―」『武蔵大学人文学会雑誌』第41巻第4号2010年をご一読ください(武蔵大学で手に入ります)。その他にもいろいろな機会を利用して研究の成果を発表していくつもりです。関心のある学生さんは是非、私の研究室(5号館5207号室)にお立ちよりください。


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